増刊 かわらや日記

巫夏希の日常

英雄譚なんて、僕には似合わない。第31話①

 そして、三日後。
「……ついにここまでやってきたわね……」
 地下鉄のトンネル、その入り口にメアリーとリニックが隠れていた。隠れている理由は単純明快。軍の兵士が地下へのトンネルに検問をかけているためだ。だから鉄道も一度停止して全員の個人情報を確認せねば進めることが出来ない。
「想像以上に、厳重体制で剣を隠しているのね……。何というか、これじゃあ、埒外よ。どうしようもない」
「でも、これから陽動をかけて……」
「ええ、だから生まれる隙はほんの一瞬でしょうね。それを利用して、」
 どがあああああああああああん!!!! と巨大な爆発音が聞こえた。
 その爆発音は何かを破裂させたような音で、恐らく何かを仕掛けていた爆弾が爆発したものだろう。
 そして、その爆弾は先程検問を通っていた列車からだと確認出来る。
「……何が起きたの……?」
 流石に予想外の行動が起きたので、メアリーは目をぱちくりさせていた。
 しかし、リニックは違う。
 そんなことを確認するよりも、行動あるのみという手に出たのだ。
「り、リニック!」
「行くなら体制が混乱している今です! 狙っているかどうかは分からないけれど……もしかしたらあの手口は、オール・アイの可能性だって有り得ますよね?」
「オール・アイが……。成程、面倒ごとを全て吹き飛ばしてしまえ、という戦法ね……。むちゃくちゃにも程がある戦法といえば、その通りかもしれないけれど、」
「そんなことを言っている暇があるなら、さっさと行きましょう!」
「わ、分かっているわよ!」
 そして、メアリーとリニックは爆炎立ちこめる列車爆発事故の現場へと向かうのだった。

 ◇◇◇

 そして、一足先にその現場を通過している人間が二人。
ライラックがまさかこんな作戦を思いつくなんて思いもしなかったけれど、」
「でもおかげで先に進めましたね?」
 オール・アイの言葉に、そりゃあそうだけれど、と答えるロマ・イルファ
 列車爆発事故の要因は、小型の水素爆弾だ。
 ロマ・イルファは水を生み出すことが出来る。その水を電気分解した後、炎をぶつける。それにより爆発的なエネルギーを生み出すことが出来る。それが水素爆弾の簡単なメカニズムだ。
水素爆弾、ね……。随分と昔にもそんな戦法を利用した人間が居たような気がするけれど」
「何か言ったかしら、ロマ・イルファ?」
「いいや、何も。……あとは、どう進めば良いのかしら?」
「ええと……」
 オール・アイは目を瞑る。
 そうして持っていた杖を彼女の顔から少し離れた位置で一周回すと、目を開いた。
「分かりました。さ、先に進みましょう」
「一応確認だけれど、本当にそれで分かったの?」
「分かりましたよ? 確認します?」
「確認する方法がどうやってあるというのか、逆に教えて欲しいレベルなのだけれど」
 そうして、彼女たちは先に進む。
 祠へと向かう最短ルートを通って、彼女たちはさらに前へ、前へ。