英雄譚なんて、僕には似合わない。第26話②
「……若者は強く、だが無鉄砲だ」
「それが若者の取り柄でしょう、若者は先が長い。一度きりの生涯をこんなところで諦めていいものか!」
「……確かに、君の言う通りかもしれないな」
村長は目を閉じ、なにかを考え始める。
やがて目を開けると、ゆっくりと頷いた。
「私が悪かった。……話をすれば何か具体的な案が思いつくかもしれん。ならば、早々に話をしようではないか。君が言うのではない、私からこのことについてははっきりと説明しよう」
「村長……」
「何をしょげておる。まだまだ始まったばかりだぞ。ここで諦めたら駄目だと言ったのは君ではないか、ラムス」
それを聞いたラムスはゆっくりと頷いた。
「た、大変ですっ」
そんな時だった。
祠の前に、親衛隊の一人がやってきていた。
「ここには立ち入りを禁じているはずだが?」
目の前にラムスが居るにも関わらず、村長はそんなこと関係ないように告げた。
親衛隊の男は申し訳ございませんと頭を下げて、
「村長にどうしても話しておきたいことがありましたゆえ、こうして禁忌を犯している次第でございます。確かに、これはやってはならないこと。それは私たちも重々承知しております。しかしながら……」
「良い。それ以上は時間の無駄だ。それで? いったい何が起きたというのか、告げてみよ」
「はっ。実は……」
すっ、と。
彼は天を指差した。
それを見た彼らは首を傾げるが、やがてそれを補足する説明が追加された。
「……天から光が落ちてきているのです。正体不明の、神からの贈り物のようにも見えるものなのですが」
「なにっ、天から光だとっ」
慌てて外に出る村長。
そして村長はそれを両の眼ではっきりと捉えた。
「おお……確かに、天から光が降ってきておる……。啓示は、間違っていなかったというのか!」
「は? 啓示、ですか」
「そんなことはどうだっていい! あれは何処に落ちる予定だ、はっきり述べ上げよ!」
「はっ。今調査を進めておりますが、このままの速度で向かいますと……、」
……およそ、二時間後には村の北東にある小島に落下するものと見られます。
◇◇◇
村長の家、その中にある村役場の一室。
既にその『天翔ける光』についての対策室が設置されていた。
「村長! 何処に向かっておられたのですか、我々は急いで調査を進めているところですが」
「そんなことはどうだっていい! 今は何処まで、何処まで調査が進んだ」
学者の一人、リルーが手を挙げて述べ始める。