英雄譚なんて、僕には似合わない。第15話③
扉を開けたその先に広がっていたのは、彼女たちの予想以上に広い空間だった。何でこんな空間があったのか、ということに関してはロマも知らなかったのだが、それが何のためのものであるかは直ぐに分かった。
「……ロマ、目の前にあるのは、何でしょうか?」
オール・アイが疑問符を浮かべて問いかける。
ロマも気にはなっていたが夜目が効くわけではなく、それが何であるのか確認することは敵わない。
ならばと思い、壁に手を当てた。見立ては直ぐに的中し、彼女はそれを押し込んだ。
「眩しっ……。あまり使われていなかったのかしら。ここが閉じてから大分経つと思うのだけど、電気がつくだなんて」
空間が照らされたのは、人工的な光だった。その光を浴びたのは、別に彼女たちだけではない。
そこにあった何か、それがはっきりと見えてきた。
「これは……飛行機?」
それには翼が付いていた。そして車のような車輪がいくつも付けられており、それで支えられている形だ。四十人ぐらいは収納出来そうな巨大なそれは、明らかにロマが呟いたその単語と一致していた。
オール・アイもそれを見て、呟く。
「こんなものが、こんな奥深くに隠されていたとは……」
「でも、動くのかしら? 流石にずっと放置していたとなると燃料とか問題になりそうだけれど」
「……どうでしょうね。それは中を見ないとなんとも言えないと思いますが。でも、大成功じゃないですか、ロマ! あなたの想像通り、地下倉庫に飛行機が……いや、それ以上の何かがあるだなんて!」