増刊 かわらや日記

巫夏希の日常

「ニコニコにおけるボーカロイドの衰退」についてつらつらと。(後編)

<追記>

いろいろとご意見をいただいております。

本記事は文字通り「つらつらと」自分が思ったことを書いているだけですので、本気の考察を思っている方からすれば肩すかしを食らうものになるかもしれません。予めご了承いただきますようお願いします。ほんとうにすいません。

<追記終わり>

 

 

どうも。おはようございます。かんなぎです。

今回は、後半です。前半を見ていただけるとわかりやすいかも。

zoukan.knkawaraya.net

 

前回をまとめるとこんな感じ。

・ニコニコなどで見られる「ボーカロイドの衰退」ってどういうことよ?

・2010年に投稿された有名曲

・2011~2013年の「イマドキのサウンド」の終焉。それに伴うメリットデメリット

 →この時期にドーナツホールを投稿している。「これしかない需要」?

 

今回は2014年以降のお話です。

じんさん、kemuさんが投稿しなくなってからボーカロイドはどうなっていったか。

辛辣な言い方をしてしまえば、彼らが人気になってからファンになった方々は大半がグッズ展開とともにニコニコ或いはボーカロイド界隈から離れていったと思います。

kemuさんは楽曲をまとめたCD発売後目立った動きはありませんでしたが(せいぜいラノベ発売くらいだったかな?)、じんさんはカゲロウデイズのノベライズ、漫画化、アニメ化、映画化とかなり表に出るようになっていったので、ファンはそちらへ移った、あるいは軸足をそちらに移したと言えると思います。

2014年投稿の人気があった楽曲はこんな感じでした。

…確かに、昔活躍していた人たちがリターンしてきたり(DECO*27さんなど。ちなみに某ランキングで除霊コメントが流れるゴーストルールは2016年です。)、昔から活躍していた人たちが安定して再生数を稼いでいたり(ピノキオピーさん、Honeyworksさんなど。ってか、Honeyworksさんの曲描いてる人って歌い手なのよね…。最近知った)、新進気鋭のボカロPが出てきたり(Orangestarさん、ナブナさん(余談:Orangestarさん、ナブナさんは共に2013年デビュー)など)、かなり面白いことになってきています。

でも、伝説入り(100万再生)の動画は、2012年をピークアウトとしてどんどん減少の一途を辿っています。そりゃまあ、昔に投稿されたもののほうが年数は経過していますから、仕方ないのですけれど。

 

年   曲数 当時投稿された楽曲およびP(P名は敬称略とします。)

2007 18 ←メルト、Ievan Polkka、みくみくにしてあげる♪、その他J-POPカバーなど
2008 37 ←桜の雨、サイハテ、歌に形はないけれど、恋は戦争、悪ノ娘シリーズ等
2009 49 ←終末シリーズ、ダブルラリアット、悪の娘シリーズ、wowaka、ハチ等
2010 47 ←wowaka、ハチ、DECO*27、40mP、終末シリーズ等
2011 47 ←wowaka、ハチ、Neru、カゲプロ、ピノキオピー、kemu、クワガタP等
2012 52 ←カゲプロ、kemu VOXX、ミカグラ学園組曲、幸福安全委員会シリーズ等
2013 42 ←カゲプロ、トーマ、ナブナ、kemu VOXX、日向電工等
2014 23 ←MSSP、ピノキオピー、Honeyworks、40mP、Orangestar、ナブナ等
2015 11 ←れるりり、ピノキオピー、ナブナ、レトルト、ナユタン星人、「ボーカロイド達が~するだけ」シリーズ等
2016 17 ←DECO*27、Orangestar、ナユタン星人、ピノキオピー、Neru、バルーン等
2017 3   ←kemu VOXX、ナユタン星人、バルーン

<参考文献>

dic.nicovideo.jp

dic.nicovideo.jp

 

でも、2014年から衰退したのか、って言われるとそうじゃないですよね。そもそも衰退する市場なら新作のボーカロイドやら、人々を引きつける楽曲が生まれるのか? ってはなしになりますし。

ボーカロイドの衰退とはつまり、こういうことなのではないでしょうか。

①感性についていけなくなり、「衰退」と表現するしかなくなった。

②①の人たち&2011~2013年の爆発がピークアウトしたことから、再生数およびポイント数が著しく減少したため、「衰退」と表現せざるを得なくなった。

そもそも衰退するくらいなら、ボーカロイドのCDは発売しませんよね。それにゲームだってリリースされています。案外、今の人たちはそちらに触れているだけで、ニコニコには立ち寄っていないのかもしれません。

要するに、かつてはニコニコがボーカロイドの専門店だったけれど、年を重ねるにつれて、Youtubeやゲーム、CDなどの他メディア(たとえにならって、複合デパートとでもしましょうか)が出てきたことにより、相対的にニコニコにおけるボーカロイド楽曲が盛り下がった=「衰退」となったのかと。

 

それが分かる、簡単な例。


ハチ MV「砂の惑星 feat.初音ミク」

今回、砂の惑星はニコニコとYoutubeでほぼ同時に公開されています。

ニコニコは33万再生(これでもすごいんですが…)に対して、Youtubeは100万再生に近い勢いです(記事執筆時点)。

 

ユーザー=顧客とした時、ニコニコやYoutubeなどのプラットフォームは店舗としましょう。ボカロP=製造者は、今までニコニコというプラットフォームで専売していた(もちろん、昔からずっとYoutubeに投稿している人はいます)が、Youtubeでもニコニコでも出すようにして、結果的にユーザーが使いやすいYoutubeに顧客が流れた。ただそれだけの話だと思います。(ちなみに前半で出している「アスノヨゾラ哨戒班」もYoutubeでは220万再生。「すろぉもぉしょん」は360万再生)

 

だって、Youtubeはアカウント無くても見れますからね。中高生はメールアドレスやパスワードを入力してようやっとコメント付のメディアとして見ることが出来るニコニコでは見ないということですね。まあ、最近ようやっとニンテンドーアカウントでも見られるようになって、3DS/WiiU/Switchでも見ている人たちもいますが、じゃあ、そういう彼らがわざわざコンソール/TVでボーカロイド曲を聴くのだろうか? ってなるとまた別になるのかなーって。iPadやらiPhoneなら分かりますが、その場合だと通信料がかかりますからね。(通信制限、そろそろTwitterでうるさくなってくる時期ですかね?w)

あと、ニコニコは画質が悪いというのもあるかもしれません。プレミアムに入れば何とか…ってレベルですが、となると、月540円支払う必要があります。中高生は、(倍としている人なら何とかなるかもですが)やっぱりその540円でもケチりたがるのかもしれないですね。これは持論ですけど。ソシャゲやらで無料になれてしまった世代の彼らが、画質だけで(正確にはもっとありますけど)、540円払うのか? という話になります。

対して、Youtubeはお金を支払う必要はありません。HD画質にするとネットが重たくなる場合も有り得ますが、そういう画質でなくても綺麗な方ですし、なんたってアカウントが必要無いです(2回目)。

 

長くなってきたので、巻きでいきます。

2014年以降、ニコニコにおけるボーカロイド界隈は確かに2011~2013年の勢いを失ったように感じられます。

しかしながらそれは他プラットフォームへの展開により、ユーザーの選択性の自由によってそれぞれの勢いが分散しただけに過ぎず、ニコニコだけで見ると勢いが落ち込んでしまい、結果的に「衰退」という言葉が使われるようになったのではないでしょうか。

 

 

2016年は「四天王」というコメントがよくありますよね。

これは、2016年投稿楽曲が年内で100万再生突破した楽曲が4曲(前年比400%)だったためです。

dic.nicovideo.jp

ゴーストルールは昔からネームバリューがある固定ファン+αにより伸び、チュルリラとエイリアンエイリアンはコメント弾幕が流れやすいポイントをPV内に設けたことで伸び、脱法ロックは2011~2013年の「イマドキのサウンド(※音楽。ただしこの場合は物語を含まない)」だったからこそ伸びたのかなーって思ったりします。もちろん、脱法ロックのNeruさんはもともとネームバリューがありますから、固定ファン+αによる伸びもあったかと思いますが。

 

じゃあ、冒頭に戻りますか。

砂の惑星」はボーカロイドとしての10年と、ハチさんが活動した8年を動画と楽曲で表現しているのではないのかな、って思いました。

ミク10周年という意味と、11年目以降も続いて欲しいという意味と、ハチさんが8年間で作った楽曲(20曲、ハチ名義)と共に歩いてきたという意味と。

あんまり長く書くと、3分割にせざるを得ないので今日はここまで。

もう少しだけ友達でいようぜ今回は
風が吹き曝しなお進む砂の惑星

僕はこのフレーズが好きです。この「友達」はミクともとれるし、今のボーカロイド界隈ともとれるし、ボカロ全体ともとれるんですけど、単純に友達=ミクなんだと思います。

どちらにせよ、砂の惑星は名曲ですので是非聞きましょう。

ではまたー。

 

 

 

ピースサイン

ピースサイン