2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧
「なっ……?!」 ガラムドが急に顔色を変える。 それを見ていたフルは、今だと言わんばかりに攻撃を開始する。 右手に構えていた剣を手にしていた彼は、そのまま攻撃を行い、ガラムドの身体を真っ二つに切り裂いた。 ガラムドの身体はそのまま霧のように消えて…
一息。「ですから、それは間違えなく進めなくては成りません。一度作り上げた世界は、最後まで責任を持って管理を進める。それが私たち神とその管理者の役割。……ですが、ガラムドは影神に操られ、その役割を奪われていたようですが」 さらに一息。「結局は、…
メアリーの記憶が、どんどん吸い取られていく。 ガラムドに記憶エネルギーが蓄えられていく。 ――が、それは途中で中断される。「……何?」 ばちっ、と電気が弾けるような音がした。 それは、メアリーとガラムドの間に存在する『何か』だった。「あなたは、も…
さらに、影神は歌うように話を続ける。「知恵の木の実から生み出されるエネルギーは、これまでのエネルギーとは違いクリーンで莫大なエネルギーを生み出すことが出来る、ということに人間は気づいてしまったんだ。これは不味いと思ったのが、僕たち神であり…
リニックもまた、一人白の空間に居た。 そして、目の前には浮かんでいる存在が一人。「……やれやれ、ついに『剣』の封印を解いてしまったというわけか」「あの、あなたは……?」「僕? 僕はね……この世界、次元、存在全てを作った『神』、その代理人とでも言え…
「だから、それは心外だと言ったじゃあないですか。そもそもオリジナルフォーズを封印するためには、フル・ヤタクミという人柱が必要だった。だから彼には世界の為に犠牲になってもらった」「世界が血の海になっても、フルが人柱になって問題ないと言えるの?…
そこは白い部屋だった。 そこは白い空間だった。 そこは空と地上の境界が定かでは無い場所だった。 そんな場所に、メアリーは一人置き去りにされていた。「……そんな、リニックたちと一緒にやってきたはずなのに……。どうして?」 リニックは居ない。 ライトニ…
メアリーは驚いていた。 何故? 何故、そこに剣が揃ってしまったのか? 何故? 何故、剣の同調の中心にリニックがいるのか?「これは……いったいどういうこと?」 メアリーは今の状況が理解できなかった。「総帥!」 状況を整理するために追いついてきたライ…
「……というと?」「剣が真の力を得るチャンスだということだよ。それは誰にも分かっていない。分かっていたら、そもそも近づけることなどしないはずだからね」「剣と、所有者たる格を持つ人間が居ることで自動的に剣の封印は解かれる、と……?」「そうそう。…
「何故あいつらは、剣をそこまでしてほしがるんだ……?」「はい?」「いいや、お前達には言っていない。お前達は引き続きここの捜査を続けろ」 そう言って、カラスミは地下トンネルの奥へと進んでいく。今は列車が通ることも無い、誰も通るはずが無いその通路…
ぱちり。電気がはじける音がトンネル内に響き渡る。 燃え尽きた後の列車を実況見分するのは、警備隊の仕事だ。 しかしながら、今日は訳が違う。 何故だかその実況見分に、帝国のカラスミ=ラハスティ将軍が同行するということになった訳だ。「なあ、どうして…
そして、三日後。「……ついにここまでやってきたわね……」 地下鉄のトンネル、その入り口にメアリーとリニックが隠れていた。隠れている理由は単純明快。軍の兵士が地下へのトンネルに検問をかけているためだ。だから鉄道も一度停止して全員の個人情報を確認せ…
6/11 0時より、カクヨム伊藤計劃トリビュート参加作品の「Milk Puzzle」をBook Walker独占にて配信致しますことをご報告致します。 bookwalker.jp 内容はカクヨム版と変わらないので、購入すればオフラインで読むことが出来る、という利点ぐらいでしょうか。…
アントへのフライト中。 ロマ・イルファとオール・アイは会話をしていた。「次の満月はいつ?」「次? ……ええと、確か三日後だったと記憶しているけれど」「三日、ね。なら全然間に合う速度かしら」「満月と何か関係性が?」「シルフェの剣は月の力を使うと…
「問題はその地下にどうやって入るか、ということ。きっと軍も策を張り巡らせているに違いない。……だとすれば、どうすればいいか?」「普通に考えれば、二手に分かれるのがベストだろうな」 言ったのはリニックだった。「ええ、そう考えるのが普通でしょう。…
「彼女の名前……ライトニングじゃあないのよ、正確には、ね。ライトニングは、私が適当につけた名前。彼女は、かつての旧文明からこの時代を観測し続けて、そして今は私とともに行動をしているというだけに過ぎない。その名前は、キガクレノミコト。かつては…
「私はそんな柄ではないよ。お前だってそれは知っているだろう?」 キャビアはそれを聞いてうんうんと頷く。「それぐらいは知っているぞ。だが、昔から言うでは無いか。女は家庭に入るべきだ、と」「それは昔の話だ。今は男だって女だって剣を振るい、国のた…
アント。 機械文明になっているその場所は、カトル帝国の主要都市となっている。 そして、アントにはカトル帝国の第一基地があり、そこには軍事の中心があると言われている。 第八会議室。「カラスミ将軍。君は剣を手に入れているという話は、本当かね?」 …
「トロワが爆発した……ですって?」 そして、そのアナウンスを宇宙船の中で知ったメアリーは、思わず崩れ落ちそうになった。「メアリーさんっ」「大丈夫、大丈夫よ、リニック。……それにしても、奴ら、そんな強攻策をとってくるなんて思いもしなかった。どうし…
村長が手に取っていた剣を手に取ると、それを見てにやりと笑みを浮かべる。「ついに、手に入れたわ。剣の『欠片』を」 そうして、空間に円を描くと、そこに穴が生み出された。 そこに剣を放り込むと、再び円を描く。すると穴は閉じ、そこには何も無くなった…
「……わ、分かった。聞こう、聞こうじゃあないか。その『野暮用』というのを。ただ、私たちがそれを叶えられるかどうか……」「あら、十分叶えられるはずのことだけれど。別に『あなたたちの命が欲しい』なんて無茶なことを言っている訳じゃあないんだし?」 ぞ…
「……私は、長く生きすぎたのだろうか。そうは思っていなかった。だが、私は、こうも長くリザードマンとして生を受けるつもりは無かった。友人がどんどん居なくなり、後は私だけ? そんな世界には長く生きたくなかった」「……村長、落ち着いてください。今、あ…
「そう言って貰えると、助かるよ。学者は、嫌いじゃあないが、ちょいとばかしいけすかないやつも居ることだしな」「……それは言わないでおいていただけると助かります。そして、それが誰であるかと言うこともあまり考えないでおきましょう」「そうして貰える…
「……どうだか。ま、俺たちはあまり考えない方が良いんじゃ無いか。とにかく今は、村長の警護のことだけを考えて……」「やれやれ、何というか、いつまでもお前達は真面目のようで不真面目な連中じゃのう」 そう言われて、ラムスとピローはそちらを向いた。 そ…
「しかし、そうなると、リルーの推測が正しいということになります! それだけは考えられません! あり得ないとしか言いようが……」「しかし、現にこういう意見が出ていることは明らかだ。時間は。どれぐらいで落下する推測だ。……いや、それは既に聞いていた…
「現在、調査段階ゆえ、推測の域を出ませんが、あれは人工物であると考えられます」 それを聞いた学者たちがざわつき始める。そんな推測など情報共有していない。彼らにとっては予想外の言葉だった。 しかしながら、その反応は、勿論リルーには想定通りだっ…
「……若者は強く、だが無鉄砲だ」 「それが若者の取り柄でしょう、若者は先が長い。一度きりの生涯をこんなところで諦めていいものか!」 「……確かに、君の言う通りかもしれないな」 村長は目を閉じ、なにかを考え始める。 やがて目を開けると、ゆっくりと頷…
「……天を裂き、大地を砕く啓示だよ」 やがて一言だけ、村長は告げた。 「それは……!」 「文字通りの意味じゃて。何せ、それを聞いたのはここに居る、ファランクス様だからのう」 「……ファランクス様がそのようなことを……?」 「嘘ではないだろう。だが、いつ…
村長の言葉は、はっきりと伝わっていた。 しかし、動くことが出来なかった。「……ラムス。もう一度尋ねるぞ。見ておったのだろう? 正直に答えなさい」 そして、彼はゆっくりと、口を開けた。「……はい。申し訳ございません。裏口から出る村長様の姿が見えたも…
そんな封建的な村は、存続している。他者との交流を絶って、他者との影響を受けずに。 それは村長の命令であり、人数が減少の一途を辿るリザードマンの決断でもあった。ここで仮に人間を出迎えたら、彼らの血がさらに薄まる可能性がある。村長はそう考えてい…