2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧
そして、夜。マグーナ基地に潜入するべく準備を酢進めていたメアリーたちは、ライトニングの作り上げたホールにより、基地の奥深くへと入っていた。 ……何を言いたいのかさっぱり分からないのかもしれないが、簡単に言ってしまえば、それはリニックにも分から…
「……とにかく、一つ聞いておきたいんですけれど、『封印』って何ですか?」「言っていなかったっけ? 要するに、偉大なる戦いで星が五つに分かれたでしょう? それと同じように人間と、メタモルフォーズも、五つに分かれたのよ。けれど、アースを含めた五つ…
早々にレストランを後にしたメアリーたちは、車を借りて、基地のそばまでやってきていた。 「そういえば」 「何?」 「一つ疑問があるんですけれど」 「言ってごらんなさい」 「……別の星に移動するにはどうするつもりなんですか?」 「そりゃあ、船を奪うか…
カトル帝国、マグーナ基地近郊の町、ラフィアス。 その寂れたレストランにリニックたちはやってきていた。「……先ずはここで情報収集といったところかしらね」 メアリーは椅子に腰掛け、メニューを眺める。そのラインナップはどうも気に入らなかったらしく、…
「!」「私の存在がどういう存在かは知っているだろう、カラスミ=ラハスティ。メリア・シールダーとして、私はどう生きてきたか」「偉大なる戦いにおいて、『盾』の戦績を誇る英霊だ。あなたは、たくさんの人々を救い、たくさんの人々を守った。そして、世…
カラスミ=ラハスティはカトル帝国の四財閥の一つラハスティ家の令嬢だ。兄を持つ彼女は、次第と女の子の遊び方よりも、男の子の遊び方を身につけるようになり、お人形遊びよりも剣戟のほうが好き――という少し変わった生き方を送っていた。 しかし、財閥の令…
第三章 カトル帝国、マグーナ基地は海岸沿いにそびえ立つ堅牢と言われるに等しい場所である。 マグーナ基地を管轄するのは帝国直属の第七兵団、そのリーダーとなるのがカラスミ将軍である。カラスミは二刀流の兵士として傭兵上がりの将軍であり、兵士からも…
メアリーがはっきりと言い放った。「……ウイルス、ですか。それじゃあ、メタモルフォーズはこの星にも居るんですか?」「ええ、居るわ。けれど、この国はメタモルフォーズを崇敬しているようね」「崇敬、とは?」「文字通りの意味よ。この世界を滅ぼすとして…
「帝国はカトルにしか勢力を持っていないんだろう? だったら、さっさと手に入れて他の星へ逃げてしまえば……」「それがそうも行かないのよ。……帝国は勢力を徐々に広げつつあってね。アースがああなってしまったでしょう? だからアースに元々住んでいた人た…
それを見たメアリーはきょとんとした様子で眺めている。 どうやら彼女が金属バットで殴打するのはいつものことらしく、「……何というか、そこまで仲良くなれたのね!」「ほええ?」 殴られてまともな思考が出来ていないリニックは、メアリーの言葉を聞いて首…
「……確認したいのだけれど、リニック、あなたには緊張感というモノがないの? 今は敵から狙われている身だというのに」 それを聞いたリニックはうーん、と首を傾げつつ、「でも、仕方ないですよね? どうやって逃げ出すかということは常に考えてはいますけれ…
目を覚ますと、そこは砂浜だった。「……ううん、ここは?」「漸く目を覚ましたの。ここはカトルの町外れ。生憎誰にも気づかれていないようなの」 リニックの言葉に答えたのは、ライトニングだった。 ライトニングは持ち合わせた武器――金属バットを手持ち無沙…
「おい、リニック! 生きてるか!」 声を聞いて、リニックは我に返る。 どうなっているのか状態を確認しようとあたりを見渡すが、「見渡している暇はないぞ、リニック。はっきりと簡潔に述べる! 今からこの宇宙船は捨てる! だが、我々は生きる。生きねばな…
「ここは、いったい……?」 白一色の世界。 世界は白一色。 僕だけしか居ないその世界は、何も見えない――孤独だった。「誰も居ない、誰も居ない。その世界は、まるで――」「君の心のような?」 背後から、誰かの声が聞こえた。 それは聞いたことのあるようで、…
サニーは冷静に物事を分析する。 しかし、事態はそんな簡単に収束してくれやしない。「しかし、このまま何も出来ないのも何というか……むず痒い……!」「仕方ないだろうが! あいつが、操縦士のあいつが、シートベルト着用の上待機しろ、というんだ。あいつに…
所変わって、宇宙。 メアリーたちアンダーピースをのせた宇宙船は、カトルの軌道上へとさしかかっていた。「あ、見てください。メアリーさん。星が見えますよ、星が」「星というよりは惑星の欠片みたいなものね……。偉大なる戦いで私たちが元々住んでいた星が…
「確かに。……確かに、そうね、その通りだわ。あなたのおかげかもしれないけれど、だってあなたが居なかったらこの扉は……」「どうかしましたか? 別に、この扉は『元々開いていたもの』ですよ?」「え?」「そうですよ?」「そう……そうね。そうだったわ」 目…
扉を開けたその先に広がっていたのは、彼女たちの予想以上に広い空間だった。何でこんな空間があったのか、ということに関してはロマも知らなかったのだが、それが何のためのものであるかは直ぐに分かった。 「……ロマ、目の前にあるのは、何でしょうか?」 …
彼女が見つけたのは、小さな扉だった。「扉……ですか」「そう。彼らが、ここにある科学技術を踏みにじるように全て持ち去ってしまったけれど、確か、ここの扉だけはどんな細工をしたのか知らないけれど、開かなかったって聞いたことがあるの」「それは……誰に…
ロマはファイルをクリックして、中身を見ようとする。 しかしながら、案の定そのファイルにもパスワードがかけられており、中身を見ることは敵わない。「ねえ、オール・アイ、このパスワードを――」 解いて欲しいの、という言葉が出る前に。 オール・アイは彼…
地下倉庫。 その一つに彼女たちはやってきた。途中出会った団員達にはオール・アイが出歩いていることに物珍しさを感じたがそれ以上の詮索はしてこなかった。 オール・アイははあはあと息を切らしながら、「……や、やっと着きましたね……。それにしても、こん…
リュージュ。 かつてこの世界を統べた人間。或いは祈祷師とでも呼べば良いだろう。予言を神から賜ることで、その地位を確保し続けた人間であり、長命であったと言われている。 その彼女もまた、ある野望を抱き、それに呪われていた人間だった。 彼女の野望は…
ラグナロク本部。「恐らく、剣を手に入れるために彼らも行動を移すことでしょう」 オール・アイは、ロマの隣に立っている。それがオール・アイの役割であり、ロマに進言するときは必ずオール・アイもその言葉を聞いていることになる。 オール・アイの話は続…
こんばんは、巫夏希です。 今回は、ちょっと変わった題材をテーマにしてみたいと思います。 題して、「僕はこうして2万字/日のペースを維持している」です! タイトルと違う? あー、そこんところはニュアンスで補ってください。 んで。 日産2万字って、割…
「試練を与えし存在……ですか。本当にそんな存在が?」 「もともとシルフェの剣は、幾つかに分かれていたのよ。だからフルは……かつての『勇者』はそれを使いこなせなかった。当然よね、その頃はまだ宇宙に進出出来る力が無かった。オリジナルフォーズを斃すこ…
その後は何事もなくゆっくりとなっていき、やがて『無重力』となった。 『お待たせいたしました。現時刻をもちまして、自動運転に切り替えさせていただきます。また、シートベルトも解除していただいて構いません。なお、現在は宇宙空間上を飛行しているため…
ゆっくりと動いていた機体だったが、やがて加速を開始する。それに合わせ、エンジンの音も大きくなっていく。 「……なんか、怖いですね」 リニックがぽつりと呟いたその言葉は、隣に座っていたレイニーに届いていたようだった。 「何よ、リニック。男のくせに…
「……詳しいのね」 「いえいえ。これぐらいこのターミナルで働く人間として常識の範囲内ですよ!」 「そう。なら、良いのだけれど」 熱意のこもったリストの答えに対して、メアリーは冷たく遇らう。それはどうかとリニックは思ったのだが、しかしリニックにと…
「それにしても……、なんというか豪華よね……」 メアリーの言葉に同意しない者は居なかった。 「確かに、もう少し質素なものを想像していましたよ。あるものはトイレだけ、みたいな」 中に入ってみると、キッチン(しかも冷蔵庫まで完備されている)にトイレ、…
「ロケットは意外と余っているんです。だってそこまで飛空士が育っていないから。けれど、飛空士の大半は早く自分の手でロケットを飛ばしたいと思っていますよ。当然じゃあないですか、ロケットを飛ばすのは男の子のロマンですからね!」 鍵をくるくると回し…